ユーロ/円相場は、98~101円水準で揉み合う展開になっている。スペインが銀行救済で最大1,000億ユーロの支援要請を決めたことで、スペインの銀行部門に対する懸念は後退している。ただ、これはあくまでも問題の一部に過ぎず、域内債務危機を封じ込めるには不十分との見方から、本格的にユーロを買い戻す動きは限定されている。ただ、欧州債市場は強弱まちまちの展開になっていることで、ユーロ/円相場も方向性を欠いている。
ユーロ圏はスペイン銀行業界のテコ入れで最大1,000億ユーロの支援を行うことで合意した。現時点での資本不足に備えると同時に、将来の「安全マージン」も含まれると解説されている。これによって、同国の銀行部門が直ちにパニック化するリスクは大幅に後退し、スペイン発の金融危機は事前の封じ込め策が一応は完成した形になる。ただ、これによるスペイン債の反発は一時的なものに留まっており、問題の根深さが再確認できる。17日にはギリシャの再選挙も控えており、マーケットのユーロリスクに対する警戒感は払拭されていない。ギリシャ再選挙の結果次第では一時的にユーロのショートカバーが膨らむ可能性もあるが、本格的にユーロ買いを進めるような動きは想定しづらい。
6月6日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されたが、政策金利は現行の1.00%で据え置きになった。ただ、ユーロ圏経済の「下振れリスクは高まっている」との認識を示し、一部メンバーが利下げを主張していたことも確認されている。3年物の長期資金供給(LTRO)の追加実施には慎重姿勢が示されているが、このままユーロ経済の下振れリスクが現実化する流れが継続すれば、追加利下げの方向性に変化はないだろう。7月にも利下げが実施される可能性があり、金利環境からユーロの上値を圧迫する見通し。
今後1週間の予想レンジは、97.25~100.00円。